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■ <北アルプス縦走 一人旅>   2009/08/08
カテゴリー: - こまさ :

2009年8月8日〜8月15日
鈴木(五)

● 8月8日(土) 室堂〜五色ヶ原山荘   晴れときどき霧雨
前夜、毎日新聞社前より夜行バスにて室堂に向かう。7時、霧雨の中、バスは室堂ターミナルに着く。夏山シーズン真っ最中でもあり、ターミナル内は人でごった返していた。早々に雨具を着けて、7日間の縦走へと歩き出す。岩畳の歩道を30分ぐらい歩くと、浄土山の登り口だ。

けっこう、この登りがきつく感じるのは寝不足のためか、それとも歳か? なーんて思いながらも1時間ぐらいで浄土山を経て、一ノ越の分岐に登りつく。立山方面は依然、霧の中。
龍王岳の下りあたりから、少し陽が射してきた。コバイケ草が咲き乱れる道を獅子岳に向けて登り返す。


(キャプション 獅子岳山頂)

獅子岳からはこれから辿る五色ヶ原ののどかな高原が望めた。「な〜んだ、もうすぐだ」と思ったのが大間違い。ザラ峠がこの真下にあったのだ。

急降下、ザラ峠目指して、滑りやすいザラザラした道を一気に下る。下り着いた峠は真冬、佐々成正がここを通って黒部から針ノ木峠を越えたと言われている由緒あるところ。
また、先に公開された『剱岳 点の記』で立山温泉に下る道として出てくる。古の昔、
立山信仰で賑わっていた頃、ここをベースにしてこの峠を越え、立山に老若男女が向かったのであろう。ガスが昇ってきている底に、その廃道があるはずだった。

(ザラ峠 ガスが湧き出ているほうの谷底に立山温泉があったのだろう)

五色ヶ原に登り返すこと40分ぐらいで木道が現れ、はるか遠くに五色ヶ原山荘が見えてきた。振り返ると辿ってきた立山の山なみが・・・。テント場は山荘より10分ほど下った沢沿いにあるという。ビール(もちろんロング缶)を買い込み、勇んでテン場へ。本日の行動、これにて終了。

<コースタイム>
室堂(7:50)→獅子岳(10:50 11:20)→ザラ峠(12:05 12:20)→五色ヶ原山荘(13:05)→テント場(13:20)

●8月9日(日) 五色ヶ原山荘〜スゴ小屋  くもり晴れ
本日のアルバイトは「越中沢岳」と「スゴの頭」への登りである。
山荘前を通り、池塘のある木道を伝い、鳶山に上がる。今日はまずまずの天気のようだ。はるか遠くに槍、そして最終日に訪れる笠ヶ岳が見える稜線を行く。

(笠ヶ岳遠望)
越中沢岳の堂々とした雄姿が迫ってきた。喘ぎながらたどり着いた山頂(2591M)から振り返ると立山、剱が。早速、お願いして記念写真を。

(越中沢岳にて)


(バックは立山・剱)

さあ、標高差300メートルを下り、いよいよスゴの頭への登り返しである。荷はかなりか軽く(16.5キロ)してきたつもりだが、やはり、登りでは堪える。

(スゴの頭)

スゴの頭よりはスゴ乗越に向けて下る。遠くに赤い屋根が見えている。乗越から小屋への登りが一番堪えたように思える。まだ、体がなれていないのだろう。でも、途中のお花畑が疲れを癒してくれる。

登り着いたスゴ小屋の少し手前に10張ぐらい張れるテント場があった。雲行きが怪しくなってきた。台風9号の影響か、一瞬のうちにガスがかかり、歩いてきた稜線はもう見えなくなっていた。
<コースタイム>
五色ヶ原山荘(5:40)→越中沢岳(8:10 8:30)→スゴの頭(9:50
10:05)→スゴ乗越(10:40 11:00)→スゴ小屋(11:50)

● 8月10日(月) 停滞  雨のちくもり
台風9号は、今日、東海地方沿岸を北上し、昼ごろ、伊豆半島から東へ進路を変えると昨日の気象通報で伝えていた。
いつものように3時半に目覚めたが、その余波なのか、風強く、断続的に雨が降っている。5時ごろまで様子をみたが、どうも怪しい。そんな中、ほとんどのテントは撤収して出かけて行った。予備日が2日あるので、薬師岳はいい条件のときに歩きたい。本日は停滞と決める。残ったのは3張のみ。そのひとつの単独行の大学山岳部(部員は彼しかいないとのこと)の埼玉県上尾からきた好青年と、後々、同じコースをたどることになる。彼は剱を越えて、槍まで行く予定だとか。
暇だ、暇だ。小屋に遊びに行ったり、寝転んだり、ぐーたら人間を決め込む。天気は少しずつ、回復に向かっているような兆しだ。小屋の人に教え乞い、赤牛岳、烏帽子岳、水晶岳などが確認でき、頭に入った。さあ、明日の薬師岳に期待したいものだ!

(キャプション 左・越中沢岳 右・スゴの頭)


(キャプション わがテント)


(キャプション 赤牛岳)

●8月11日(火) スゴ小屋〜薬師峠  晴れ
 小屋の前より樹林帯に入り、抜けると、眼前に槍が見えてきた。1時間もすると間山山頂。池塘のある山頂からは、これから辿る北薬師が望まれる。背後には剱が威風堂々と聳えていた。

(北薬師へつらなる山稜)

北薬師への道はだらだらと長い。南アのような1000メートル登り、1000メートル下るといった急激な登り下りは北アにはないが、このだらだら登りは結構疲れる。間山より2時間ぐらいで北薬師岳に着く。しかし、ガスがでてきて景色はいまひとつ。素朴な標柱がなかなかいい。いよいよ、今回の山行の目的(薬師岳・黒部五郎岳・笠ヶ岳)の一つ、薬師への登りである。「ここで雨の場合はこれから先、要注意!」との看板あり。ガスの彼方に薬師本峰が現れる。

東側に金作谷カールが鋭く落ち込んでいる。そこには雪田、岩屑、這松が織りなす絶景があった。
2926メートルの薬師山頂、祠は周囲が石積みされている。中を覗き、手を合わせる。薬師如来像が鎮座していた。

いよいよ晴れて、夏山らしくなってきた。はるか彼方に見えている薬師岳山荘目がけてガレ場の道を下る。途中、東南稜の頭の所に「愛知大学の遭難碑」と壊れかけた石室があった。確かにガスっていると、左の東南稜へ入りこみやすいところだ。
小屋の前を過ぎ、しばらく行くと平坦な木道、池塘のある「薬師平」である。そこにもケルンが山積みされた愛知大の遭難碑があった。
台地より樹林の中に入り、小沢沿いの道を30分も下ると薬師峠のテント場につく。
「ビールをもとめて太郎平小屋まで行ってこようかな」と思案していたら、なんと、管理事務所で売っていた。ラッキー! さっそくグイーと一杯とやる。
時間はまだ11時20分。昨日の濡れものを干す。一帯、洗濯物の花と化す。
八王子の単独行の女性、剱から槍を経て穂高まで行くという名古屋の単独青年と談笑する。共に山を始めて1年だとの事、その意欲に関心する。

(薬師峠のテント場は都市近郊のキャンプ場のような賑わい)

<コースタイム>
スゴ小屋(5:00)→北薬師岳(8:15 8:25)→薬師岳(9:20 9:45)→薬師峠テント場(11:20)

●8月12日(水) 薬師峠〜黒部五郎小舎  快晴
太郎兵衛平につづく木道を行く。気持ちのいい朝になった。

小屋にて会事務所に一日行程がづれているのを連絡する。太郎山より北ノ俣岳へとハイマツの気持ちいい緩やかな道をのんびり進む。今日は大快晴だ。笠・黒部五郎が見えてきた。

(左・黒部五郎岳 右・笠ヶ岳遠望)

辿りついた北ノ俣岳からは昨日、越えてきた薬師が朝日に輝いている。左眼下には赤木沢が草原の中を蛇行している。中俣乗越に下り立ち、大休止。そこよりは歩いてきた太郎山〜北ノ俣岳〜赤木岳の道筋がはっきり見える。

(薬師岳)

本日の黒部五郎への400メートルほどの登りに入る。この頃より笠ヶ岳の上に傘雲がかかってきた。薬師といい、この黒部五郎といい、山頂につく頃になるとどうもガスがかかってきて、山頂よりの景色がいまひとつなのが残念だ。肩より山頂をピストンする。

(黒部五郎への道)

黒部五郎小舎へは、カール経由で行く。ここはそこらじゅう水が流れ、お花畑のとても気持ちのいいところであった。


(黒部五郎のカール)

雲行きが怪しくなってきた。急ごう!降られる前にテントを張りたい。あ、やっと見えた!草原の先に今夜の寝場所、黒部五郎小舎が

<コースタイム>
薬師峠(5:00)→北ノ俣岳(7:15 7:35)→中俣乗越(8:45 9:00)→黒部五郎岳山頂(11:10 11:20)→黒部五郎小舎(13:10)

●8月13日(木) 黒部五郎小舎〜双六池   雨風強し
 朝より雨模様。午後からは酷くなるとの予報なので、動くかどうか迷う。予備日があと一日あるので停滞は可能だが、今日の行動時間は一番短く、おおよそ4時間。ひどくなる前に少しでも前に進んでおこうと決め、5時、雨の中、出発する。
小舎の後ろの針葉樹林帯の中の急登を登る。いつもそうだが、朝一番の登りは堪える。
潅木帯になると風雨が強くなる。西より顔面に向けて激しく叩きつけてくる雨、雨、雨。
左に三俣山荘へ行く分岐にでる。

ちょっと迷うが、山頂経由で行くことにする。風はますます強くなっている。三俣蓮華山頂、ここで勘違いする。雨風を避ける意味でも、双六へは巻き道コースを行くつもりであった。その道は山頂を越えてから少ししてから分かれるものと思っていたので、そのまま双六方面に進んでしまった。気がつき地図を見たときには、稜線コースにきていた。戻るのも面倒なので、稜線コースより中道コースを辿ることにした。
腹が減ったが雨風を避けるいい場所がない。たいしたものも食えず歩かざるを得なかったが、なんとか中道コースを下り、巻き道コースと出合い、ホットする。そこからは一投足で双六小屋に着いた。
双六池のテント場は風をよけるものがないので、ものすごい風である。テント設営に苦労する。ポールをつかんで張ろうとするのだが、飛ばされてダメだ。急ぎ、テントの中にザックを投げ込み重石して張り綱を張ろうとするのだが、ゆがみ、きしみ、飛ばされ、うまくなかなか張れない。40分ぐらい格闘の末、なんとかなった。
 もう、その日はテントから出ずじまいで、じっとしていた。
<コースタイム>
黒部五郎小舎(5:00)→三俣山荘への分岐(6:55)→三俣蓮華岳(7:35)→双六池(9:10)

●8月14日(金) 双六池〜笠ヶ岳  快晴
昨日の暴風雨がウソのような満天の星空が、今日の好天を約束してくれている。双六池を後にする。しばらく歩くと、ドドーンと突然、槍・穂高が目の前に現れる。飛騨側から見る槍・穂高はなんとスケールの大きいことか!

北鎌尾根の独標から北鎌平、槍の穂先、キレットの先に北穂高、奥穂、西穂、その先の焼岳から乗鞍、御岳まで、大パノラマが広がっていた。
笠に連なる稜線は西穂から見るとほとんど起伏なく見えるが、実は、弓折岳から先、抜戸岳までは、結構、登り下りが多かった。大ノマ乗越、大ノマ岳と伏兵が潜んでいた。

(弓折岳)


(秩父平 水取れる)

 抜戸岳山頂は道よりはずれている。でも、しっかり、踏んできた。
笠ヶ岳が迫ってきた。播隆平の奥に小屋も見える。新田次郎の『槍ヶ岳開山』に出てくる播隆上人はこの笠ヶ岳にも縁が深い。

 見えているけど、遠い。荷は昨日の雨を吸ったテントでいつもより重い。いやになった頃、急登の奥にテン場が現れた(小屋まではなお10分くらい登らなければいけない。そのため、トイレが面倒。水場は近いが取りづらい)。
 テントを干し、空身で山頂に向かう。2897メートル笠山頂12時45分着。7日目にして辿り着いた今回山行のフィナーレを飾る名山であった。


(テン場より笠を仰ぐ)


(穂高をバックに)

<コースタイム>
双六池(6:10)→弓折岳(7:30)→抜戸岳(10:45)→笠新道分岐(11:00 11:20)→笠ヶ岳テント場(12:10)

●8月15日(土) 笠ヶ岳小屋〜新穂高温泉  快晴
 笠よ、さらば! 朝日に輝く笠を背にしながら、抜戸岳直下、笠新道分岐に向かう、5時。
ここよりはもう、薬師・立山・黒部五郎・双六方面の山々ともお別れである。カールの底に下りて行く。

(朝日に輝く笠ヶ岳)


(笠新道分岐)

杓子平にて休憩。笠もここから先では見えなくなる。だんだん高度を下げるにつれ暑くなってきた。目の前には西穂のロープウエイの山頂駅が見えている。西穂から間ノ岳、天狗の頭へと続く稜線スカイラインもクッキリと望める。分岐より3時間半で登山口に下り立つ。あとはひたすら、新穂高温泉バス停に向けて歩くのみ。富山・長野・岐阜三県にまたがった縦走が終わろうとしていた。(完)
<コースタイム>
笠ヶ岳テント場(5:00)→笠新道分岐(5:55 6:05)→杓子平(6:55     
7:05)→登山口(9:30)→新穂高温泉(10:10)

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