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■ 北ア 裏銀座〜船窪岳〜針ノ木岳〈後編〉   2010/07/27
カテゴリー: - :

個人山行記録;G.S.

2010年7月27日〜8月3日
北ア 裏銀座〜船窪岳〜針ノ木岳
Men;鈴木G

…前編のつづき

●7月31日(曇りのち晴れ)烏帽子小屋〜船窪小屋

烏帽子小屋を後にする。小屋の横よりすぐブナタテ尾根を右に分け、縦走路は左へ。ニセエボシの登りを終え、烏帽子岳山頂への分岐に下りる。空身で烏帽子山頂往復に。
途中、クサリ場が三箇所あった。


※烏帽子山頂手前のクサリ場(小屋には「自己責任で登ること」と大書されていた)

三本目のクサリを登るとそこが山頂である。字の見えない標柱がガスの中に立っているだけの岩に囲まれた、ちょっとあっけない所であった。
この日より、岩手県の男性(70歳に近いか)と、三重県のS山岳会の猛女二人(60歳半ば? 彼女らは西穂から槍を越えて来て、私と同じ柏原新道を下るという)と同会の男性(62歳、同じく西穂から入り、な、何と彼女たちと別れ、栂海新道を経て親不知まで)との四人で、抜きつ、抜かれつ、時には一緒に進むことになる。
烏帽子分岐より、霧の中、幻想的なエボシ四十八池を巡り、南沢岳、不動岳へ。


※このような池が至る所にあった エボシ四十八池

本日のコース、特に南沢岳〜不動岳〜船窪岳への道はアップダウンが多い上に、崩壊地の脇につけられた悪路で、梯子・クサリ・ワイヤー・ロープがいたるところに出てくるという。


※崩壊地の道を下る場所が多い

※そんな悪路にも時としてこんな花も咲いていた

※ガレた崩壊場所に架かる危うい桟道

不動岳以降は樹林の中、200メートル前後の登り下りが連続した。特に梯子段では荷がきつく、疲れた身体には堪える。ワイヤー・ロープを伝って下りる際にはストック2本が邪魔になるので、片手に短くしてまとめる。
いくつ鞍部、コブを越えたであろう、ホトホト疲れきった頃、船窪岳(?2459M)のピークに着いた。しかし、書かれていた標柱には「船窪第二ピーク」とある。
「エッ、ということは、まだこの先に山頂があるってこと?」
「そうかも、しれませんね?」
「そうよ、だって、針ノ木谷に下りる乗越しがなかったもの」
「え、じゃあ、さっきの鞍部は船窪乗越じゃ、なかったんだ」
仕方ない、気を取り直して荷を背負い、再出発。しばらくして、今度はほんとうの船窪岳山頂。


※やっと着いたここが船窪山頂でした

そこからはロープを伝い、急降下。下り立った所が「船窪乗越」であった。左に針ノ木谷に下りて行く道がある。こんな道を下る人なんかいるんだろうか?
谷を隔てて左手には針ノ木小屋が小さく見えている。小屋を挟んで右が蓮華岳、左が針ノ木岳だ。
辿る尾根の右手には時折、高瀬ダムの湖面が見える。


※ 崩壊した山肌の先には高瀬ダムが望める

船窪小屋はあの辺りか? 見上げても、見上げても尾根はつづいている。
疲れきったころ、テント場についた。受付を出す小屋はここよりまだ20分ほど登ったところにあるという。
まずは設営、水汲みに。
『注意! 危険ですので、水汲みは暗くなってからは行かないでください』との看板がある。
行ってみて、納得! そこは崖の下、ロープを伝って水場に下りて行く。


※崖の下の水場(中央三つ目の草の辺り)

ビールを買いに小屋に行く。まず、テント場より10メーターぐらいある急な梯子段を登る。そこからは山腹をからんでトラバース道が小屋につづいている。七倉・蓮華岳への分岐をすぎると、先方に小屋が見えてきた。


※いま、人気絶好調のランプの宿「船窪小屋」

この小屋は昨今、おかみさんの人気とランプの小屋でもあり、わざわざ、泊まりにくる人が多いらしい(翌日、泊まったひとが言うには食事が抜群に良かったとのことです)。 
小屋前のテーブルでは同行の三重の女性が生ビールを飲んでいる。誘われたが、あの梯子段を下りるかと思うと、いま、ここで飲みたいのはやまやまだが、安全を期して、ビールを2本買い込み、テント場に戻ることにした。
小屋の前方には槍ヶ岳が、そして前穂北尾根が輝いていた。

 <コースタイム>
 烏帽子小屋(4:30)→山頂分岐(5:10)→烏帽子岳(5:30)→分岐(5:45 6:10)→
 船窪第二ピーク(12:05)→船窪山頂(13:40)→船窪テント場(14:55)〈水場下り5分、登り10分〉

● 8月1日(晴れ)船窪小屋〜針ノ木峠
まっすぐ進む七倉尾根(船窪小屋へ)を見送り、指導標に従い左へ七倉岳を目指して登って行く頃には、左後方に立山が朝もやの中に、姿を現わしていた。今日も天気は良さそうである。


※立山遠望

七倉岳山頂より200メートルほど七倉乗越に向け急降下、鉄の梯子を下りきると、乗越である。


※七倉岳

右手下の七倉沢より、涼しい風が吹き上げてくる。大口を開け、朝の新鮮な空気を一杯吸い込む。
北葛岳へ登り、再び、300メートルほど北葛乗越へ向けて下る。下り立った北葛乗越からは針ノ木谷に下りる道があった。
大休止。
ここからは蓮華岳に向けて、500メートルの登りとなる。眼前には岩壁が立ちはだかっている。まず、ルンゼ状の中につけられている鎖を伝い、登って行く。足場はしっかりしているので見た目ほどではないが、少々、緊張を強いられるところだ。


※北葛乗越からルンゼの中のクサリ場の登りへ

クサリ、梯子とつづく。下からは三人が登ってくるので、落石に気をつけなければならないので、かえって神経が疲れる場所であった。


※鎖がつづく、まだまだつづく

やがて、安全な場所に入り、小休止。そこからは、暑い陽射しの中、蓮華に向けて、ジグザクの道を進む。岩屑の急斜面は「蓮華の大下り」と言われるところで、さしずめ、逆コースなので「蓮華の悪戦大上り」といったところか。なぜか、フシギなくらい、岩屑の大きさが同じなのだ。何んでなのだろう?
一歩、一歩、また一歩・・・・牛歩のごとき歩みでも、時間が経てば目的地に辿り着く。11時ジャスト、山頂着。山頂には祠があった。


※暑さの中、たどりついた蓮華山頂

蓮華岳よりは大きく道は西へ曲がり、針ノ木峠に下っている。緩い斜面にはコマクサが咲いていた。


※眼下に針ノ木小屋が迫ってきた

※針ノ木峠の道標の裏にはあの有名な大雪渓が

登ってくる人が多くなってきた。峠より蓮華山頂を往復する人たちである。ジグザクを急降下すると峠に下り立った。
すると、目の前に白いヒゲ面の男が立っているではないか!
「あっ、塚越さん!(高校の1年先輩。元渓稜会員。穂高町在住)」
 と叫ぶと、あっちも目を白黒させて、
「おお、なんで五郎がここにいるんだ!」
とびっくりしている(近所の人たちを連れて、日帰りで針ノ木雪渓を上がってきたが、ひとり具合が悪くなった女性がいたので、数人が蓮華に向かっている間、峠で待っていたのだ)。
奇遇だ。数分ずれたら分からなかった。こんなことがあるものなんだな、とお互い感心しながら、しばらくしゃべり合った。そして二日後、扇沢下山後に連絡をすることを約し、別れたのであった。

 <コースタイム>
 船窪テント場(5:10)→七倉分岐(5:30)→七倉乗越(6:25)→北葛岳(7:30 8:00)→
 北葛乗越(8:45)→蓮華岳(11:00 11:25)→針ノ木小屋(12:15)

● 8月2日(快晴)針ノ木峠〜種池山荘

寒い! 寒さで目が覚める。白みかけた空には星が瞬いている。きょうも天気は期待できそうである。
今日辿る針ノ木〜スバル〜赤沢岳〜鳴沢岳の稜線がはっきり見える。
小屋の裏手より、針ノ木岳への登りに入る。右手前方には爺ヶ岳の奥に双耳峰の鹿島槍が、左手には一昨日、苦戦した不動岳から船窪岳へ連なるアップダウンの多い尾根が見える。こちら側から見ると、改めてその登り下りの多さに、なるほど、大変だったことがよく分かる。
瓦礫の急斜面を斜上する。ハイマツ帯になり頂上が近づいてくると、針ノ木岳とスバリの鞍部にどでかい山が出現した。剱岳だ。その威容に息をのむ。


※突然、剱が・・・・

針ノ木山頂。絶景とはこのことを言うのだろう。立山・剱が眼前に迫っている。源次郎尾根・八ッ峰・長次郎雪渓が。そして改めてよく見ると、五色ヶ原〜獅子岳〜鬼岳〜竜王岳〜立山〜別山〜剱の山々が・・・。


※針ノ木山頂 立山・剱の雄姿が眼前に

※立山全景

三重のステキな猛女が上がってきた。
「あれ、男性は?」
と聞くと、彼は親不知まで行くので、先を急ぐので早立ちし、別れたとのこと。
朝食(起き抜けは食欲がないので、いつも1時間後ぐらいの最初の休憩で摂っている)後、スバリ岳に向け、先に下りる。岩がゴロゴロした嫌な感じの道を鞍部まで下り、スバリ山頂に瓦礫の道を登り返す。


※スバリの登りより針ノ木岳を振り返る

※スバリ岳が迫ってきた

※スバリ山頂と立山

※越えてきたスバリ・針ノ木の岩峰

この先、登り下りがつづくスバリ〜赤沢岳〜鳴沢岳の岩稜帯からは常に立山・剱の雄姿が望まれ、時に、眼下に黒部の湖面が顔を覗かせていた。こんなに、剱・立山を見続けられたのは初めてである。


※黒部湖 左、湖面にかすかに白く見えるのは走る船

※剱岳の上にトンボが飛んでいる!?

赤沢・鳴沢間の真下には「関電針ノ木トンネル」が通っている。あの裕次郎が映画「黒部の太陽」のラストシーンで見せた場所が、おそらくこの辺りかと思う。
鳴沢岳を通過。露岩帯を新越山荘に向け降下。山荘よりは緩やかなお花畑がある尾根を岩小屋沢岳に登り、種池へ。


※新越山荘からのお花畑を分ける道

種池山荘から2時間半、一気に扇沢ターミナルに下りようかと思ったが、既に歩きつづけて9時間過ぎていたし、やはり疲れた身体でのラスト2時間半は「老いたからだ」に転んでもいけないと思い、やめた。だんだん、若さを失ってくると、考えも軟弱になってくるようだ。ま、それも、仕方ないか!
早々にテントを張り、いつものように「ビールの人」となってしまった。

 <コースタイム>
 針ノ木小屋(5:10)→針ノ木岳(6:20 6:55)→スバリ岳(7:40)→
 赤沢岳(9:45 10:00)→鳴沢岳(11:00)→新越山荘(11:35 11:50)→
 岩沢小屋岳(12:45 13:00)→種池山荘(14:20)

● 8月3日(快晴)

いよいよ、下山日だ。種池山荘を後に、扇沢への道を下る。越えてきた蓮華岳・針ノ木峠・針ノ木岳が朝日に輝いている。


※小屋より爺ヶ岳南峰を望む

※よく整備されている柏原新道

※さらば! 蓮華と針ノ木岳

柏原新道は爺ヶ岳南尾根の山腹をからんで、緩やかに下っている良く整備された道である。
五月、鹿島槍に登った折、テントを張ったところはあの辺りかも? と南尾根を眺めながら、快適に下って行く。
途中、雪渓を横切る。つづいて、ガレ場を通過する。たしかに、この辺りは雪崩が起きそうなところである。五月、この柏原新道が使えないのが納得できる。
大分、下ってきた。南尾根の取り付きはこの辺りだっただろうか? 二箇所、そんなところがあった。1900と1800メートルの辺りである。おそらく、1800地点だったように思える。五月とは趣が異なっているので、はっきりとは確認できなかったが。
バスが着いた時間なのか、上がって来る人が増えてきた。いよいよ、今回の縦走もフィナーレに近づいてきたようだ。(完)

 <コースタイム>
 種池山荘(5:10)→扇沢出合(7:40 扇沢バス発8:55)→大町温泉郷「薬師の湯」

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