参加：内海、風間、鈴木G、山下
日時：12月31日〜1月1日
TVでは出発の数日前から寒気が入り込むことが告げられていた。
恐らく冬型が強まって北ア周辺は風雪になることが予想された。事実、当日の気圧配置はとても安全・快適に登山できる状況ではないことが一目で解る状況だった。
【オーマイガッ！】
さてこの状態で合宿を計画通り遂行することは可能か否か。
「取り敢えず行ってみようや」
その一言に背中を押されて車は一路、新穂高へ。
当初の大喰岳西稜〜槍ヶ岳計画を変更し安全に登れる西穂岳を目指すこととする。
新穂高ロープウェイは高度を上げるほど降りの激しい真っ白な世界へ入ってゆく。木々を重く覆い尽くした雪がここ数日の積雪量を教えてくれている。
文明の利器から降り立ち、降りしきる雪の中、トレースを辿って西穂を目指す。天気が良ければ気にもならない荷の重みが今日はイヤにズッシリと背中に応えてくる。周りは小屋泊まりの軽装な登山者ばかりで重荷に喘ぐ姿はあまり見られない。
やはり予想される悪天に出発を躊躇った登山者が多いのだろう。
それでも我々は行く。雪にまみれながらも山の空気に触れたくて？
さてこればかりは「山屋」にしか解らない気持ちだ。
程なくして西穂小屋到着。
この時期にたったこれだけ？と思うほどのテントの数。まぁ当然だろう。小屋の前に作られた巨大な雪だるまに新年を祝う幟が立っている。そうか明日は元旦なのか。そんなことも忘れていたくらい忙しい毎日だったか…
風間氏供出の超軽量テントに潜り込みやっと一心地。五郎さんが買ってくれたビールに喉を潤し、早速大晦日の宴が始まった。信じられない程の重い食料を一人背負ってくれた五郎さんの夕食はすき焼き！
こんな久しぶりに美味い「山の食事」と美酒に酔いしれ、話も尽きぬまま平成２２年は暮れていった。
雪の朝だ。
テントも30�冂�埋まっている。天場にいるとまるで分からないが稜線は風雪に晒されてるのだろう。他のテントからも話し声は聞こえるが誰も出発する様子はない。
まぁこの天気では無理もない。明るくなるのを待って取り敢えず行ける所まで歩を伸ばすことにしよう。そろそろ他のパーティも動き出したようだ。
【風雪の独標】
天場からいきなりラッセル。でもすぐに固く締まった斜面となって飛騨側から吹き付ける風に顔を背けながらの登高となる。
かなりの数の登山者が一列になって登って行くが、殆どが丸山で引き返し、気が付くと先へ進むのは我々だけ。
独標の手前でどうするか躊躇するが何とか最低でも独標の頭までは行こうと気を取り直して登る。
雪の付き方が悪い。中途半端にクラストした上に夕べから降り積もった雪は不安定な足場しか提供してくれない。更に強まってきた風雪の中を何とか独標まで登り詰める。何も見えない頂きだ。
無理すれば西穂まで行けないこともなかったが此処で下りても誰も責められないだろう。慎重に足場を確かめながら下るとこちらに向かう幾つかのパーティとすれ違う。
天場に戻るとまだ午前中だ。今なら一気に下山する余裕もありそうなので撤収して帰路に着くことにする。雪まみれになりながら装備を詰め込み、登りよりも長く感じるトレースをロープウェイ駅へ向かう。
冷えた身体を平湯で温め、Ｕターンラッシュ前の空いた高速を飛ばして帰京。
今回は悪天に見舞われ、当初の計画とは程遠い結果となってしまったが、もう一度みんなで「冬の槍の頂上へ」を合い言葉にリベンジしたいと思う。
31日 新穂高発10:30〜西穂小屋（TS）12:00
1日 TS発6:20〜独標8:40〜TS10:00〜新穂高12:00