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■ 谷川岳 一ノ倉沢南稜   2006/10/29
カテゴリー: - 管理人 :

日付     2006年 10月29日
メンバー   掛川、安田、鈴木(直)、川元、山下

【10月29日】
立派な建物になった「谷川岳ベースプラザ」を後に真っ暗な林道を一ノ倉へ向けて歩き出す。(4:20)
かつて何度も歩いたこの道を久しぶりに辿る。
足裏にアスファルトの固い感触を感じながら一日の登攀への気持ちが少しずつt昂ぶってゆくのを感じる。懐かしい感覚だ。
或る時は希望に燃え、或る時は不安に押し潰されそうになりながら、一ノ倉に向かう時、感じるこの気分は何年経っても変わらない。
まだ暗く沈んだ一ノ倉の出合に着く。

何人かのクライマーが登攀具を付けている。岩場はまだ闇に包まれたまま。

ゆっくりしているうちに先行パーティの4〜5人が歩き始めた。
「我々は明るくなったら歩き始めればいい」
しかし、彼らを先に行かせたのが「大きな失敗」だったと後で気付く事になるのだが。
出合発(5:40)

この時期になるとら雪渓は姿を消し、ヒョングリの滝が露わになるのだが、今年は思いの外残雪が残っている。色褪せたフィックスザイルに掴まりながらテールリッジをひたすら登る。
予想外な好天に加え、ほぼ無風、Tシャツ一枚でも充分な程だ。

汗だくになって中央稜の取付きに着く。
衝立の垂壁を横目に烏帽子奥壁横断バンドに目を遣ると、先行パーティが南稜テラスに向かっているのが見える。

歩き方の技量からも、あまり「岩慣れ」してないパーティのようだ。
我々もそそくさと取付きに向かう。途中、中央カンテ方面のパーティから落石の洗礼を受ける前に迅速に行動しようとするが、何せ久しぶりの一ノ倉だ。小砂利の載った濡れたスラブを恐る恐る歩きながら、漸く南稜テラスに這い上がった。

登攀具で武装し、安田−山下ペアはツルベで、掛川−鈴木−川元トリオがそれに続いて南稜、1P目に取り付く。(9:00)

出だしのフェースはやや細かいものの丹念にホールドを拾いながら快調に登る。岩は硬く不安はない。チムニーは中に入らず右のフェースを登る。つい中に入りたくなって、出口でニッチもサッチもいかなくなるので初めから、横目で睨んで通過。

2〜3P目、フェースを快適に超え、草付を辿る。4Pで先行パーティに追いつく、が中途半端な所でビレイしているので横をすり抜け数メートル上でピッチを切る。ここで鈴木氏の追撃に遇い他のメンバーも追いつくが結局、先行パーティの行動待ちとなってしまう。

気温も下がり始め、じっとしていると寒くなってきた。振り返ると白毛門の大きな山塊とその右手になだらかな稜線を拡げて上州武尊が柔らかい日差しを受けている。たおやかな光景と足元に広がる一ノ倉沢の深い谷の間でゆっくりと時間が流れてゆく。
久しく忘れていた光景だ。

ようやっと動き出した先行パーティに付いて我々もザイルを繰り出すがすぐに動きが止まってしまう。どうやら最終ピッチでかなりもたついている様子だ。

遅くとも昼前には終了しないと6ルンゼとテールリッジの下降にそれぞれ2時間掛かったとしてヘッドランプのお世話になるギリギリのタイム、何とか明るいうちに出合に下りたい。
見上げると国境稜線には低い雲が湧き始めている。急がねば…。

6P目、高度感のあるカンテライン。硬い岩にしっかりとフリクションを効かせて高度を掴み取ってゆく。登攀の「醍醐味」だ。

安田氏から譲って貰いトップで最終ピッチを気持ち良く登る。ほぼ垂直だがしっかりとしたホールドのあるフェースだ。抜け口の大きな岩をガッチリと掴んで終了点に立つと、久々の充実感に満たされる。
程なく全員無事登攀終了。固い握手で不安のない充実した登攀を祝う。(12:15)

…と、ここまでは良かったのだが先に6ルンゼを下降し始めた先行パーティが一向に動かなくなった。
上から眺めていてもすぐ下の懸垂ポイントでじっとしたままだ。

登りで散々待たされた挙げ句、今度は懸垂でもこれでは、怒りも収まらない。
「何やってんだぁ!奴ら」「懸垂でモタつくなら谷川なんて来るんじゃねぇよ!」などと口汚く、罵りまくる。聞こえないように。
そうは言っても急かして動くものでもなし、途中停滞を繰り返しながらも漸く井戸の底みたいな6ルンゼを抜け、南稜テラスに降り立つことが出来た。

中央稜取付きまでは更に慎重に下り、先行パーティを突っつきながらヒョングリの滝の登り返しを終えると、とうとう日が暮れてしまった。ヘッドランプの白い光軸を頼りに沢音の徐々に大きくなる一ノ倉沢出合に着いたのは(17:45)だった。

梢の合間に半月の見え隠れする林道を、疲れた身体とは裏腹に軽い充実感に内心ニンマリしながら歩く。
カサカサと音を立てて、足元を舞う枯れ葉が木枯らしの季節が近いことを語っていた。

記:山下

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