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■ 谷川岳 一ノ倉沢1,2ノ沢中間稜   2019/02/24
カテゴリー: - Orihara :

谷川岳 一ノ倉沢1,2ノ沢中間稜

日程 : 2019年2月24日(日)  前夜発日帰り
メンバー : OR、NM (2名)      記録 NM 写真 OR

2月23日(土) 19:50  南浦和出発
        22:00 谷川岳ベースプラザ駐車場
2月24日(日) 3:30  起床
        4:00  行動開始
        5:10  一ノ倉沢 出合
  5:30  一・二ノ沢中間稜 取付
   7:30  木のある小ピーク(懸垂ポイント)
  11:30  ピナクル帯
        14:30  東尾根合流
        16:00  トマノ耳頂上
        18:00  ベースプラザ駐車場 (西黒尾根下降)
        21:45  熊谷駅で解散

 4年前のシーズンに2度入山した。初回は天候が悪くて東尾根に切替え、2回目は序盤で時間を使い過ぎて最初の木の生えた小ピークの少し先で撤退した経験のあるルート。 その後も課題と認識していたが、具体的に計画せずに暫く経っていた。
 今シーズン、リーダーのORさんの強い意志により実現した4年越しのリベンジ山行。
 2月の入山はWEB上にある過去の記録からすると少々早い気もしたが、天候も不安なさそうなので2月の最終週に計画。土合付近の雪も落ち着いた感じで、あとは自分達次第というコンディションで出発。登山センターを越えて雪にのった直ぐ、確実に速く歩くためにアイゼンを装着。
 ルートグレードは『チャレンジアルパイン』では2級上(所要時間6〜8.5時間)、『冬季クライミング』(新版)では3級下となっている。前回、最初の懸垂ポイント(木のある小ピーク・コル)までは前進していた。今回はそこの通過時刻は7:30。「その地点が全体の1/3位かな」と思っていたので、「順調に来てる!」と感じた。「8時間もあれば抜けられるだろう、だとしたら頂上は14時位かな♪」なんて考えていたが、甘かった。小ピークでロープを付けてから予想を上回る時間が掛かった。小ピーク以降さらに傾斜が急になる。このルートのハイライト・核心部分は上部のピナクル帯だが、長く続く灌木交じりの急雪壁で集中力・体力・モチベーションを切らさずに動き続けることがこのルート攻略の重要なポイントだと思う。所々に出てくる傾斜が急な部分ではアックスを確実に効かす、抜けたり折れたりしそうな微妙な太さの小枝を雪から掘り出して握り、崩れそうな雪のステップと小枝に体重を分散して体を上げる、シッカリした枝を掴んで「手に足」ムーブで乗り込んでいく等で高度を上げていく。一つ一つの動きはそんなに難しくはないが、もし失敗して落ちれば絶対に止まらない様な斜面を延々と登る。  小ピーク後の急雪壁は大部分をコンテ・同時登攀で登った。
 高度を上げるにつれ、左側からの岩峰が近くなり「左方ルンゼとの合流点はもうすぐかな…そろそろピナクル帯か…」と思いながら登る。
 ピナクル帯の入口、15m程の下降ポイント手前のピークには最初にORさんが到着した。スタカットで少し下まで辿り着いた時、「この先だよ」と言われた。「懸垂か?」と思わず聞いてしまったが、「支点なんかないよ、クライムダウンだよ。こっちまで来れば見えるよ。」と言われて少しだけ覗き込んだ。少し見ただけではどこを降りるのかイメージが全く出来なかった。話し合って僕が先に(上から確保されて)降りることにした。進む体勢を整えて、初めて見下ろせるところまで行き、立って進むべき方向を見た。ナイフリッジが急激に落ちている。雪が少ないときに側面をクライムダウンしてる写真もあるが、側面を下降する気は全く起こらなかった。馬乗りでナイフリッジに抱き付くような体勢でクライムダウンをした。ORさんは万一の時、引き摺り込まれないように見えない地点で確保しているのでどんな状態か分からずビレイしてくれている。 所々ナイフリッジが発達していて、馬乗りの片側の足が側面を捉えていない部分の通過もあった。このナイフリッジパートの通過で一つ想定外に厄介だったのは、日の当たっているマチガ沢側の雪面がパウダースノーでなく、アイゼンが雪団子状になったことだった。宙ぶらりん気味に急な斜面に下ろした右足の雪ダンゴを、ピッケルを振って叩き落す動作は下もよく見えている視覚効果も加わり、バランスを崩しそうでとっても怖かった。
 ピナクル帯は入れ替わりが難しく交互に行けないと思っていたが、意外にそんなことは無く、交代で進んだ。核心部分は全て馬乗りで進んだ。ピナクル帯の終盤で後続パーティーがピナクル帯の入口に差し掛かっているのが見えた。「すごい所に立ってる〜!」と思った。そこまでただひたすら夢中で登っていて、後ろを気にしてなかった。ピナクル帯を抜けた時、「一番心配な部分は終わったわ〜」と一息ついたが、目の前に見える灌木まばらな急雪壁に「まだまだ安心できないな。」とも同時に感じていた。進む方向のほぼ正面に太陽があり、まだまだ続く急斜面を逆光で見上げた。
 少し緩斜面を行った後、急雪壁をまたひたすら登る。左からの尾根と合流すると東尾根上部との合流地点だ。東尾根の上部トラバースパートが見渡せる地点まで来てみると、東尾根にトレースが無いことが分かった。「東尾根に合流すれば、少々気楽になれるかも…」との甘えがあったが、もう一度気持ちを引き締めざるを得なくなった。ただ、誰も踏んでいないまっさらな急雪壁の波打つ尾根は美しかった。今から考えれば、こんな東尾根を登る機会はこの先もう無いかもしれない。 
 微かに雪の色が変わっている様に見える部分があり、「そこが前に入った人の跡かな」と思いながら、雪庇に近づかないように慎重にカニ歩きで進んだ。第一岩峰の手前まで来てロープを外した。第一岩峰は右側を巻いたが、雪の亀裂と側面の悪い場所の通過でもう一度かなり緊張した。ダブルアックスを慎重にキメて、急で崩れそうな足場に不安を感じながら突破した。
 第一岩峰を越えて、後は雪面を登るだけとなった。これまでに比べると傾斜が緩く感じる。ここでスノーバーも腰から外してザックに付ける。後は油断しないように一歩一歩進んだ。(スノーバーは何回も使った。持ってきてヨカッター!)
 最後、トマの耳に出る所で雪庇気味に頭上に張り出した部分を崩してついに頂上に出た。ORさん、自分の順に上がった。最後のパートで日陰の雪壁をひたすら登り、頂上に上がった瞬間に正面から太陽の光を浴びた。 その時、まるで自分が舞台上でスポットライトに照らされた様な気分になった。 時計を見ると16時でスタートから12時間、尾根に取り付いてから10時間30分が経っていた。既にロープウェイが使える時間でないため、好天の谷川岳が2人の貸切状態だった! ガッチリ握手をして登頂を喜びあった。写真を撮ってすぐに下降に掛かる。足跡がいっぱいあって多くの人が入ったと分かる。トレースのしっかりついた西黒尾根を急いで降りた。
 最高の天候なのに景色を楽しむ余裕が全く無かったのが少々残念だが、先行者のトレースなしで全行程を登るというオマケつきの充実した山行だった。 (文:NM)

 
 2週間前に日白山へ行ったときのNMさんの感想としてリベンジできて良かったと言うので、自分はここ(中間稜)行きたいんだよね とNMさんに連絡して久しぶりに計画を立てる。天候との兼ね合いなので連続でプッシュかけて登れればという気になった‥この時期 仕事の兼ね合いなどでそうできないことが多いけど。
 当日までは現地の天気をチェック。前夜に雪が降るようだが、時間、量ともに少なそうな予報なのでとりあえずは問題ないだろうと判断して浦和を出発。
 現地入りした際はわずかに雪がちらついていた、ま、予報通り。
 一ノ倉沢出合までは、いつも西黒との分岐がよくわからずについ迷う。今回も一段下からトラバースしてしまいもう少し上かなとトレースに当たって一安心。
 マチガ沢くらいまでは立派なトレースだったけど一ノ倉沢出合の手前くらいからトレースの数が少なく感じた。15cmくらいは降ったのか、思ったより多いな。
 出合に着くころにはトレースは一本だった。少し入ったところで休憩と準備。ずっと先(一ノ沢か左方ルンゼ)でヘッデンの明かりらしき光が数回見えた…。
 一ノ沢へトレースを追いかける。中間稜末端に来てもトレースはやっぱりそのまま上だった。東尾根か左方ルンゼか、先にトレース付くのかなとか思っていた。
 とりあえずトレースのない中間稜へ取付く。初めNMさんがトップだったがどうもペースが上がらない気がして交代。下部のブッシュ帯から雪田に抜けた辺りで休憩。
前回はクラックが走っていて遠回りしたりしたが今回はそんなこともなく通過。そこから先は雪稜(ナイフリッジ)と雪壁の連続。前回撤退した下降ポイントで休憩をとって懸垂。懸垂後はショートロープにして同時行動で登る。雪璧はいまいちな締まりなのでダブルアックスよりも雪面に手を突っ込んでブッシュをつかんだ。だんだんと左の岩峰が迫ってくるので、左方ルンゼとの合流も近づいてくるのがわかる。ショートロープからスタカットに切り替えたところでピナクル帯に入った。NMさんに先行で下降してもらう。セカンドでの下降は雪は腐ってるしロープが引かれたりすると生きた気がしない部分があった。お互いに気持ちに余裕がなくなり不穏な空気も流れた。ここの通過に2時間もかかったのは大誤算だった。後続が追いついてきた、左方ルンゼへ入ったパーティだろうか。 再びショートロープにして雪壁をひたすら登ると東尾根に合流した。思っていた合流地点と全然違くてこんなところに合流するのかと思った。この時NMさんがトップでそのまま東尾根に入る。トラバースのトレース付けも面白そうだった。第一岩峰手前で交代してちょっとだけ味わう。ラストの登りで叫びたくなったものの、抜けてからと我慢し、雪庇の乗っ越しで欲をかいて悪戦苦闘してしまい歓喜の叫びをあげるには意気消沈。ともかく登りきった。
 当日の天候には恵まれて、念願のルートはノートレスだったし最高に気持ち良かった。 (文:OR)
 

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